北海道新聞コラム「卓上四季」(5月14日)より

地域に満足?

先週、本州の猛暑のニュースが伝えられた。浜松市は何と33・6度。東京都心は30度こそ超えなかったものの、昨年より二十三日も早く光化学スモッグ注意報が発令された▼当日の札幌の最高気温は16・6度。街路樹の若葉が輝きだし、風はさわやか。一年で最も快適と思える季節だ。テレビが映し出す五月上−中旬とは思えない東京を見ながら「北海道に移っておいでよ」と思わずつぶやいた▼博報堂の生活総合研究所が地域に対する住民の満足度を都道府県別に調査した。住民が地域に求めるものを生活費の安さ、便利、安心、自然など八つの指標に分けて聞いている。その結果が描き出す、東京と北海道の対比が興味深い▼今住む地域に満足だと答えた割合は意外なことに東京が89・4%で一位。理由は移動や遊び・外食が便利だからというのが圧倒的だ。自然や物価などの満足度は最下位グループに属する▼道民の満足度は75・6%。全国二十一位だが、八つの指標すべてにそこそこ満足しており東京のような偏りはない。研究所は「ほどよくバランス型」と分類した▼調査は「可能なら住みたい地域はどこか」も聞いた。これは北海道を含む「ほどよくバランス型」の支持が断然多い。暑さの中、街を行く東京の会社員のニュース映像が思い浮かぶ。「便利だから満足」というのはやせ我慢ではないか。移っておいでと本気で思う。